市長メッセージ

“あまちゃんのふるさと”から
“笑顔が日本一”の町を目指して

遠藤 譲一

久慈市長

久慈の現状を正しく知ってもらいたい

わたしたちの久慈市は、岩手県の北部に位置する海沿いの町です。2013年度上半期に放送されたNHK連続テレビ小説「あまちゃん」の舞台になったまちとして、ご存じの方も多いのではないでしょうか。

ウニをはじめとする海の恵みをたっぷり受けた水産資源、山・里・海に囲まれた豊富な自然、そして温和なまちの人々。多くの魅力が詰まっている久慈市ですが、人口減少が進み、現在の人口は約3万5000人ちょっと。この地域の将来は、若者世代や子育て世代がどれだけ定着するかにかかっているといえます。

久慈市では今、大学や短大に進学する若者が増える一方で、地場企業の中ではいまだ根強く高卒採用志向が残るなど、雇用のミスマッチが生まれています。「久慈市には仕事がない」。そのイメージはもう昔の話。現在では製造業をはじめとした企業誘致も進み、人手さえあれば事業を拡張できるのに…という企業の声も多く聞かれるのが現状なのです。

進学や就職のためにいったん市外に出た若者を再び故郷へ呼び戻すため。そしてこれまで久慈市に縁のなかった人に対しても、情報を発信することでこのまちの現状と魅力を知ってもらい、久慈市で暮らす未来の可能性を感じてもらうために、今回「マチリク」へ参加する運びとなりました。

個人が地方で成長する“産業の下地”を整える

大学を卒業した層にリーチできる雇用のレベルアップのために、市としてもモノづくり産業の誘致をはじめとした、さまざまな取り組みを行っています。昨年秋には、全国でも最新鋭の設備を備えた日本最大級の鶏肉解体処理工場が操業しました。そのほかにも久慈市には、縫製、精密機械、造船、建設など、多様な産業が集積しています。

これからの製造業は、AIやコンピューターが前線で活躍する時代。そこで大きく必要とされるのが、コンピューターを制御する技術者やオペレーションを管理していくプロです。技術や通信の発展とともに大学などで学んだ専門スキルを活かせる場が地方に広がっている今、「地方で成長する」という個人の選択肢も広がっているといえるでしょう。

また、視点を一次産業に移してみると、漁業のまちとしての側面もある久慈市では「獲る漁業」から「育てる漁業」へのシフトチェンジを模索している最中です。地球環境の変化により漁獲高が不安定な昨今、安定した漁獲高が期待できる養殖産業を育てることは従事者の生活の安定化にもつながります。
1990年からスタートした久慈港湾口防波堤の大工事は、あと10年で完成予定。湾口防波堤の完成後には、広大な静穏域が生まれます。新しくナマコの増殖などが予定されており、漁業の活性化がますます期待されています。

「ここで子育てしたい!」と思えるまちに

現実問題として、仕事があるだけでは人は豊かな暮らしを営めません。「ここで子育てをしていきたいな」「ここで一生暮らすのもいいな」と思えるまちづくりをしていくためには、医療、教育、介護、さまざまな側面から連携して仕組みを整えることが不可欠です。

手始めとして、子育てと仕事を両立させる親世代をサポートするために、市と市内の小児科がタッグを組んで、保育園児や小学低学年の児童を対象にした病児保育をスタートしました。たとえば保育所や小学校で子供が発熱した場合、学校から連絡を受けた看護師さんがタクシーで学校へ迎えにきてくれます。治療後保護者が迎えに来るまで責任を持って小児科で保育してくれるので、子どもの体調が気になる時も職場に支障を来たさずに安心して仕事に注力できるんですね。このように市としても、子育て世代を応援するさまざまな施策を考えています。

「あまちゃん」のふるさとである久慈には、現在も観光客がたくさんいらっしゃいます。みなさん口を揃えて言うのが、「久慈の人は優しいですね、なんだかいいまちですね」ということ。ここで生まれ育った私たちには当たり前のことでも、外から眺めて初めて良さに気づくこともあるんだなと実感しました。どんな人でもすっと溶け込める、どんな人でもふっと受け入れる、そんな懐の広さがこのまちにはあると思っています。

遠藤 譲一

久慈市長

久慈市出身。中央大学法学部卒業後、岩手県庁へ入庁。久慈地方振興局、地域振興部地域企画室、岩手県住宅供給公社、環境生活部を経て、県南広域振興局北上総合支局長などを歴任後、2009年に岩手県庁を退職。2014年3月より現職。