この地域で活躍する人

私の明日を照らしだす
やわらかな琥珀色

深浦 桃子

久慈琥珀株式会社

思いがけず出会った琥珀の町

秋田で生まれ、青森の大学に進学した私。大学では美術史を専攻し、その学びを生かして将来は学芸員として博物館で働きたいという夢を抱いていました。ですが、学芸員ポストの空きはなかなか無いのが現状。それでも自分の夢を叶えるため、勤務地にこだわらず求人を探していた私に親身になってくれたハローワークの職員さんが紹介してくれたのが、久慈琥珀(こはく)博物館だったんです。

お恥ずかしながらそれまで久慈市が琥珀の産地という事どころか、久慈市を舞台にした朝の連ドラ「あまちゃん」すら見ていなかった私ですが、博物館で働ける、しかも国内で唯一の琥珀の博物館で!という想いのままに採用試験を受験。無事に採用通知をいただき、思いがけずジュエリーとしての琥珀の美しさ、そして久慈というまちの魅力を知ることとなりました。

琥珀とは、太古の昔に地上に生い茂っていた樹木から分泌した樹脂が地中に埋もれ経年変化した岩石から採れるもので、「樹脂の化石」とも呼ばれています。その歴史は、恐竜がいまだこの地球上を闊歩していた時代までさかのぼります。明るいハチミツ色から深みがかった茶色まで、約250種あると言われている琥珀のカラーバリエーションは数ある宝石の中でも最多。日本人の肌に馴染みやすいやわらかな琥珀の色味は私も大好きで、いつもブレスレットとして身に着けています。

今は企画展のことで頭がいっぱい!

学芸員として採用されてから1年半。今では受付や来館されたお客様に対するご案内、事務作業といった通常業務も板についてきました。新卒で入社し、社会人としてのスキルがゼロだった私にとって、メールの応対ひとつからして未知の世界。そこで大きな助けになったのが、年齢は少し上ですが同期入社した頼りがいのある職場の先輩と、まちぐるみの新人研修です。

新人研修では、社会人として基本となるビジネスマナー講座から、電話の取次ぎ方などの実務面を学びました。5月、10月、3月と定期的に行われる研修スパンも、少しずつ成長していく自分と重ねながら段階を踏んでいけるという点で、私に合っていたように思います。

現在は少しずつ企画展の企画・運営を任せてもらえるようになりました。今ちょうど企画しているのは、館内の美しい自然を呼び水に琥珀に関心が無い人にも足を運んでもらえるイベント。紅葉シーズンに合わせて館内のさまざまなビュースポットで撮影を行いながら、久慈琥珀に対しても興味を持っていただければと考えています。

日常のささいなことに喜びを見つけながら

縁あって、この久慈市というまちで暮らすことになり、知人も友達も誰一人いないままに移り住みましたが、実際に生活してみると地元の人を中心に楽しむローカルイベントが頻繁に開催されていることに驚きました。3と8がつく日に開かれる「久慈の市日」をはじめ、特にお気に入りなのは毎月最終金曜日に開催される「べっぴん夜市」。ウニごはんなどの郷土料理に加え、タコスやインドカレーなどの屋台が出て、ワイワイ楽しい雰囲気なんです。お祭り感覚で楽しんでいるうちに、久慈というまちに溶け込むことができたのかもしれません。

休日は雰囲気の良い昔ながらの喫茶店を巡ったり(最近ハマっているのは「喫茶モカ」のふわとろ卵サンド!)、仕事帰りにいつも渡る久慈川から美しい夕焼けを眺めたり、日常の小さなことに喜びを感じながら毎日を過ごしています。久慈の人は良い意味でサバサバした気性の方が多く、ほどよく構ってくれてほどよく放っておいてくれるんです。そんな距離感が私には居心地がよく、気が付いたら逆に地元の人から「もう2~3年ここにいるみたいだね」なんて言われたりして、だんだん私も久慈色に染まってきたのかな?なんて思っています。

深浦 桃子

久慈琥珀株式会社

秋田出身。弘前大学教育学部卒業後、久慈琥珀株式会社に入社。趣味は食べ歩き。